この地獄から救われたいならどうする?

 「ところがある時の事でございます。何気(なにげ)なくカンダタが頭を挙げて、血の池の空を眺めますと、そのひっそりとした暗の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛(くも)の糸が、まるで人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。カンダタはこれを見ると、思わず手を拍(う)って喜びました。この糸に縋(すが)りついて、どこまでものぼって行けば、きっと地獄からぬけ出せるのに相違ございません。いや、うまく行くと、極楽へはいる事さえも出来ましょう。そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もある筈はございません。・・・」

大正7年に発表された芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」からの抜粋。
地獄に堕ちた泥棒カンダタに起きた、お釈迦様のきまぐれから起きた出来事です。はじめて読んだ小学生の頃は、なんでもっと早く登らないんだろ?とか順々に登っていけばみんな脱出できるのに。とかお釈迦様に振り回されて理不尽。なんて思って読んでたような気がします。

昨今の派遣切りについて会社勤めをしている知り合いと話をしたときに、話を聞きながらこの「蜘蛛の糸」の物語を思い出しました。
正規雇用社員も派遣社員も会社にとってコストというモノサシでみればたいして変わらないと思ったからです。もしかして自分達の下にぶる下がっていた人々が切り捨てられ、一旦は軽くなった蜘蛛の糸でしょうけど、その糸いつまで自身の重さを支えていられるのでしょうか。

もし地獄さえもみんなで協力して住みやすい環境にかえることができるなら、今の場所でもっとみんなで知恵を出し合って頑張れるのかなと、ちょっと思ったのでした。
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